スイス・ジュネーヴ留学日記

スイス・ジュネーヴの大学院生の留学記録。

FAQ -IHEID編-

Bonjour!

最近、IHEIDに進学を考えているという方から質問を受けることが多くなりました。確かに開発学の専門大学院で世界ランキングにも載っていないためか日本語での情報は少なく、私も出願前に情報収集に苦労した思い出があります。
今回はよく聞かれる質問をもとに、IHEIDについてまとめてみたいと思います。私が学部から直接進学したこと、また後輩も学部からの直接進学を考えている人が多いことから、視点が少し偏っているかもしれませんが、寛大な心で読んでいただければ…

 

カリキュラム

※カリキュラムですが、私はMaster in International and Development Programme (MINT)に所属しているので、MINTに限った話が多くなるかと思います。

 

履修授業はどれくらい自由に取れるんですか?

最初に、MINTはInterdisciplinary courseなので、他のDisciplinary coursesと比べてかなり自由に授業を取ることができます。Disciplinary coursesに行きたい方は、あまり履修の自由度はないと思いますが、その分自分の分野を極めることができると思います。

さて、MINTの詳しい話になりますが、単位の内訳はこのようになっています。Workshop, Applied Research Project, Thesisを除いて、基本的に授業は1コマ6 creditsです。

  • Compulsory classes (18 credits):プログラム全体、specialization用の必修授業があります。
  • Research electives (18 credits):修士論文を書くときの調査方法に関する授業です。1学期に10個程度のResearch electiveの授業が開講されているので、その中から選びます。
  • Specialization electives (12 credits):自分のSpecializationに関する授業ですが、1学期につき20-30個の授業があり、かなり幅広いです。例えば私のいるGender, Race, Diversity specializationではジェンダーと政治に関する授業、ジェンダーとヘルスの授業、アフリカのジェンダーに関する授業など、分野を横断していろいろな授業があります。
  • Free electives (12 credits):これは他のSpecializationやプログラムの授業から完全に自由に取ることができる枠です。もちろん、Specialization electivesをこの枠として多めに取ることもできます。
  • Workshops (15 credits) : 実践的なスキルを身につけることを目的としたワークショップで、ほとんどがロールプレイやチームディスカッションを中心に二日間で行います。一つのWorkshopにつき3 creditsがもらえます。5つのWorkshopを受ける代わりに、 4つのWorkshop + インターン(3 credits)で15 creditsもらうこともできます。
  • Applied Research Project:後述しますが、Specializationの縛りなく、自由にプロジェクトを選ぶことができます。
  • Master thesis:テーマはかなり自由に決めることができますし、specializationにとらわれずに決めて大丈夫です。教授もだいぶ柔軟に対応してくれるので、該当分野に詳しい教授がいないから書きたいテーマで論文が書けないというようなことはないです!

ということで、完全に取り扱う内容を自由に選べるものとしてはFree electives、Workshop、Applied Research Project (ARP)、Master thesisがあります。また、卒業要件の120単位よりさらに12単位分多く授業を取ることもできるので、興味があるものがあればそこで追加して履修することもできます。

 

〜に関する授業はありますか?

人によって、取りたい授業が違うので個別にここでお答えすることはできませんが…Pocket IHEIDのページからその年(もしくは前の年)のシラバスを見ることができます。興味のある分野があれば、このサイト内の検索エンジンでキーワード検索してみると見やすいと思います。

Campus   ←こちらのサイトからシラバスを見れます。

 

Specialization をどう選んだらいいかわかりません。

自分が学びたい分野がしっかりと決まっていれば、その分野に関連したSpecializationを選ぶのがベストですが、決まっていない場合はそんなに厳密に選ばずとも大丈夫かと思います。私はGender, Race, Diversityコースにいますが、学びたいことはジェンダーではないので、結局ジェンダーに関する授業はトータルで3つしか履修していません。代わりにFree electivesとしてMigrationのコースの授業を一つとMaster in International Relations and Political Scienceのコースの授業を一つ履修しました。

とはいえ、Specialization用の必修とElectivesの3授業はSpecializationのテーマに関わるものでなくてはいけないので、ある程度は興味があるものでないとキツイですね…

 

ARPはどんな感じですか?

ちょうど別記事にまとめようと思っているので詳しくはそちらに書きますが、3-4人のグループで、パートナーの国際機関やNGOなどと協力してのリサーチプロジェクトを行います。中身は本当に多様でいろんなものがあり、自由に選べます。

期間はもともと10ヶ月ほどでしたが、私の年は約半年で終わらせるという短期間のプロジェクトに変更になりました。ただ、また来年から伸ばすらしいという話も聞いているので、どうなるかはちょっとわかりません…現在試行錯誤中のようです。

追記:また今年からARPは1年弱のプロジェクトに変更になったようです。以下の記事にまとめたので、ぜひ参考にしてください。

a-genevablog.hateblo.jp

a-genevablog.hateblo.jp

 

専門的に勉強したいことが絞りきれてなくて困ってます。

MINTに応募する場合のみですが、MINTはInterdiscplinary courseなので、先ほど説明した通り履修はかなりフレキシブルで自由に取ることができます。そのため、入学後に自分の専門分野を変えた友達もいますし、ARPだけ違う分野のものに取り組んでみたという人もいます。どうしても絞りきれない場合、専門分野を決めることに必死になりすぎる必要はないように思います。また、学びたいことが複数ある場合は、Interdisciplinary programmeの特徴を最大限に利用して分野を横断して学んでみるのも良い選択肢かもしれません。

ただし、Master programmeは2年しかないので、早めに決めておいて損はないと思います。少なくともMaster thesisのために何かしらのトピックを一つ選ばなくてはいけないので…

 

学生について

よく多様な学生がいると聞きますが、国籍や年齢など割合はどんな感じですか?

国籍

言葉通り、いろいろな国籍の学生がいます。とりあえず知り合いの国籍をざっと上げてみると、スイス、フランス、イタリア、ドイツ、フィンランド、イギリス、トルコ、モロッコ、ガーナ、カメルーンコートジボワールレバノン、イラン、アフガニスタン、インド、パキスタン、ロシア、モンゴル、中国、香港、台湾、韓国、フィリピン、カンボジア、マレーシア、ベトナムアメリカ、カナダ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、ベネズエラニュージーランドなどなど…

中国人とインド人の学生は特にたくさんいて、国の人口比などを考えてあえていろいろな国から学生を取っているような気がします。政治的な話題や授業のディスカッションでも、いろいろな視点が反映される面白さを感じます。

年齢

本当にさまざまですが、平均すると25-6歳くらいになりそうな気がします。もちろん30歳を超えている人もいて、子育てをしながら大学院に通っている人も。人生なんでもありだなと気付かされました。

あまり年齢の話はしないのですが、誕生日パーティーなどで年齢が明らかになることが多く、私が「23歳になる」というと、ベビーだと言われるので笑、下は22歳くらいから、一番多いのが2~3年職務経験を積んでからMaster programmeに来た25~29歳くらいの人、多くはないですが30代の方も見かけるという状況です。

韓国や中国では年齢の数え方が違ったりして、なかなか難しい…親しい友人同士では〜年生まれだよね?と年齢を確認したりしますが、多くの場合はそんなこともしないので、基本的にあまり年齢差など気にしていないというのが現状だと思います。生徒間の人間関係で年齢はそれほど問題ではなく、むしろ人生のどのステージでどういった位置づけで大学院に来ることを決めたのかをはっきり理解していることが重要かと思います。

 

バックグラウンド

大学卒業後にストレートできた人と、何らかの職務経験のある人がいます。割合としては、私の体感では4:6〜3:7くらいでしょうか。

職務経験がある場合は、その経験は人によってさまざまです。国際協力や開発分野で働いていたという人もいれば、コンサル、銀行、教師、医療系の民間企業、政府関連の仕事、NGOなどでインターンをしていた人…弁護士や医師の資格をすでに持っているという人もいました。

大学卒業後に来た人も、大学で学んでいた内容は、国際関係や国際法、経済、心理学などいろいろです。ファストトラックで来ている人もいれば、大学卒業後にギャップイヤーを取ってから来ている人もいて、年齢も必ずしも同じとは限りません。

※ファストトラック:IHEIDには海外の他の大学と連携して、学士号と修士号を早くとり終えることのできるプログラムがいくつかあります。

※ギャップイヤー:海外では、卒業後に1年間の時間を取って旅行などに使う人がいます。このことをギャップイヤーと呼びます。

 

学生の雰囲気はどんな感じですか?

人によってさまざまです。勉強一筋!という人もいれば、遊びも勉強もバランスよくという人もいます。ただ、当たり前ですが日本の大学のように遊び呆けている人はいないですね笑

あとは、かなりcareer-orientedというか、卒業後のキャリア形成について早くから考えてインターンなど動き出している人が多いです。もちろん勉強にも力を入れていますが、それよりもキャリアのことを考えないと!という空気感をなんとなく感じています。

 

課外活動

課外活動としては、インターンをする人が多いです。スイスに到着後6ヶ月は働くことができませんが、その後はインターンなどをして経験を積む人が多いです。学校のJob portalでも積極的にインターンの募集が行われており、そこを通してインターンを見つける人も多いです。

そのほかにはIHEIDにはInitiativesと呼ばれる学生団体のようなサークル活動のようなものがあり、それに所属して活動をしている人もいます。

 

キャリア

卒業後の進路はどのくらい決まっていましたか?

私の場合は全く決まっていませんでした…そしていまだに悩んでいます…

個人的な意見ですが、応募時や入学時に進路が決まっていなくても大丈夫だと思います。こちらでいろいろな友人の話を聞いたり、インターンなどをしたりするうちに何かしら見えてくるものがあると思うからです。周りの友人たちも、まだわからないという人はたくさんいます。特に大学卒業後にそのまま院に来た人は決まってない場合が多いです。

社会人経験がある人はおそらく入学前からかなり明確なキャリアプランを持っていることが多いです。それを聞くのもとても刺激的で興味深いです。ちなみに、そういう友達たちは「私はまだ決まってなくてどうしよう…」というと、まだ若いから!と勇気づけてくれます笑

 

 

こんなところでしょうか。ほかにも何か思い出したり、付け足す質問が思いついたら追記するかと思います。